本研究は、平成8年度発足の重点領域研究申請にむけて準備、研究のために組織され、数回の班会議と1回の公開シンポジウムをおこない、研究計画の立案の助けとした。 1)公開シンポジウム「蛋白質モーター研究の新展開」(東京、平成6年11月11日) 木下一彦:「光ピンセット法による蛋白質モーターの1分子計測」 柳田敏雄:「1分子モーターの運動・ATPase反応のイメージング」 須藤和夫:「ミオシンモーターの遺伝子操作、結晶構造、分子計測」 若林健之:「クライオ電子顕微鏡法でモーター蛋白質の構造変化を追う」 若林克三:「X線溶液散乱法で捉えたミオシンモーターの構造変化」 広川信隆:「新しい微小管結合モーター蛋白質群KIFSの同定と細胞内物質輸送機構の解析」 2)班会議 平成6年9月と平成7年1月に、班会議を開催した。ここで、前年度不採択であった重点領域申請「蛋白質モーターの構造ダイナミクス」(申請代表者:若林克三)の研究方針、研究計画、人的構成の全面的見直しをおこない、今後どのような形で研究を展開するべきか、国内外の研究の状況をふまえつつ議論した。その結果、小人数の研究者を機動的に組織して、人工的蛋白質モーターを作り上げるという未知の領域に足を踏み入れる時期がきているという考えに達した。これは、単に工学的応用を考えるということではなく、蛋白質の持っている潜在的可能性を、我々が積極的に引き出すことで、蛋白質機械独自の作動原理を探ろうという意味をもっている。そこで、この方針に添って、重点領域研究計画「蛋白質モーターの分子デザイン」を作り上げた。
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