研究概要 |
本研究は平成6年から3年計画で開始されたもので,現在,資料収集を行っているところであり,その一部を報告する。 永渕:6歳(就学2カ月後)で頭部外傷のため失語になった女児を1年間経過観察してきた。損傷部位は左運動性言語(ブローカ)中枢に限局したものであり,発話能力は最初の6カ月間でかなり回復した。1年後のWISC-RによるIQはほぼ正常範囲となったが,「読み書き」を中心にした言語能力をはじめ算数を含めた学習に遅滞が生じている。このケースの言語回復および学業援助について,担任教師の協力を得ながら更に資料収集を続ける。 ・構成行為の発達遅滞を示す学童2名に積木構成を課題にして,視覚的な空間認知と操作に「指で見本を分割する」方法が有効であることがわかり,更に検討中である。 菅井:音楽活動と言語行動形成の理論と実践プログラムの考察を行った。 ・初期言語指導研究に関する文献考察を行った。 ・発達障害児2例(コミュニケーションが良好な子と不良な子)の歌遊びと音声言語の発達過程を2年間観察し,現在,データを分析中である。 ・養護学校の脳障害児の言語発達と音楽行動発達を観察中である。言語発達検査S-S法では,事物の基礎概念レベル,事物の記号レベル,語連鎖レベル,統語レベルの各段階で多様な滞りを示していることが分かった。また音楽では,歌の韻律成分であるメロディを表出する子供が多いことが分かった。
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