研究課題/領域番号 |
06401009
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
佐竹 靖彦 東京都立大学, 人文学部, 教授 (90032698)
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研究分担者 |
木村 誠 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (40094263)
川口 勝康 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (30106596)
小谷 汪之 東京都立大学, 人文学部, 教授 (00086943)
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キーワード | 井田地割 / 商鞅田制 / 吐魯番田制 / 畝間潅漑 |
研究概要 |
本年度の研究の重点は、中国における井田地割の数理的解析による復元に置かれていた。第一の課題は、もっとも鮮明に井田地割の痕跡を残している陜西地方の民国製五万分の一地図を利用する数理解析であり、この点については、昨年度のデータをもとに、それをフーリエ解析にかけた結果、それが、周制百畝の田地区画三単位を新しい一区画とする商鞅変法による新制百畝を単位とする田地区画の痕跡として認識できることを明らかにした。第二の課題は、従来、文献の面で、具体的に均田制度をうかがう唯一の資料であった吐魯番史料を、本研究の想定する地割論の立場から観察することにより、そこに、陜西地方と同様に商鞅変法による新制百畝を単位とする田地区画の痕跡を検証することである。この点については、青川秦簡等にみられる、この新制百畝をさらに八等分する地割を吐魯番史料中に見出すことにより問題を解決した。吐魯番においてこのような地割の検出される地域は、そのすべてがオアシス潅漑による耕地であり、新制百畝の縦長新制百歩すなわち周制三百歩は、ほぼ330m程度と計算され、これを八分して得られるほぼ40m程度の長さは、乾燥地帯でよく見られる、水分の蒸発を抑制するための畝間潅漑農法において採用される耕地長に一致している。本年度の研究結果から考えると、従来均田制度と称されてきた田制の基本は、井田制度を改編して成立した商鞅変法による新田制にあることが推測される。そしてまた、このような事実は、春秋以来民国期に至るまで、耕地分配の平等を重視し、その理論的根拠を過去の井田法の存在に求める中国の社会論とも適合的である。
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