研究課題/領域番号 |
06402002
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研究機関 | 宇宙科学研究所 |
研究代表者 |
松本 敏雄 宇宙科学研究所, 宇宙圏研究系, 教授 (60022696)
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研究分担者 |
松原 英雄 名古屋大学, 理学部, 助手 (30219464)
川田 光伸 宇宙科学研究所, 宇宙圏研究系, 助手 (50280558)
中川 貴雄 宇宙科学研究所, 宇宙圏研究系, 助手 (20202210)
芝井 広 宇宙科学研究所, 共通基礎研究系, 助教授 (70154234)
村上 浩 宇宙科学研究所, 宇宙圏研究系, 助教授 (40135299)
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キーワード | Infrared Astronomy / Dark matter / Rocket experiment / Infrared Imaging |
研究概要 |
平成8年度は前年度製作した観測装置を観測ロケットに搭載し、実際の観測を行った。液体ヘリウムによって冷却された赤外線撮像装置はNASAの観測ロケットTerrier-Black brantに組み込まれ、平成8年6月、ホワイトサンズのロケット基地から打ち上げられた。観測はあらかじめプログラムされた手順に沿って行われ、システム全系はほぼ完全に動作し、予期したデータを得ることが出来た。この結果は極めて低い背景放射光下でInSbアレーの低雑音読み出しを実現したにとどまら、4〜5ミクロン帯での系外銀河NGC5907の撮像に世界で初めて成功した点で画期的な成果といえる。 系外銀河ハロ-の観測については光学系のイメージが予想よりかなり悪かったため、データ処理にかなりの時間を要した。これまでの解析によれば、従来から知られていたハロ-成分以外に暗黒物質に起因すると思われる放射成分は有意に検出されていない。この結果は暗黒物質を担っている天体は小質量星としてもかなり質量が小さく温度も低い褐色矮星である事(質量高度比が200以上)を示唆している。さらには、今後の解析によっては、星以外の小質量ブラックホール等を暗黒物質の候補と考えざるを得ないこともありうる。今後解析を進め、この結果を論文としてまとめる予定である。 観測装置は幸い再使用が可能な状態で回収されたので、再度実験を試みるべく装置の再較正を行った。その結果、イメージの大幅改善が実現され、また着陸時の受けた損傷の改修も平成8年度内に行うことが出来た。本研究の年度からは外れるが、この観測装置を再度搭載して第2回ロケット実験を平成9年5月に行う予定である。
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