研究課題
基盤研究(A)
銀河系の星間空間には、原子、分子、イオンなどさまざまな状態のガスが存在している。従来は電波望遠鏡によって水素21cm線、CO2.6mm線によって、それぞれ中性水素ガス、およびCOを含む水素分子ガスの研究がなされ、銀河系の構造、状態が明らかにされてきた。しかしながら我々のグループが行った炭素イオンの遠赤外スペクトル線の広域観測から、新しい状態「広がった光解離領域」の存在が明らかになってきた。この領域は銀河系星間空間の中でCOで検出される分子ガスと水素原子ガスの中間に存在し、明るい星が出す紫外線エネルギーを遠赤外線に変換して放射することによってガスの支配的冷却過程となっている。このような銀河系星間ガスの統一的な理解にとって遠赤外スペクトル線の観測は重要であり、しかも炭素、酸素、窒素の代表的重元素の定量ができる可能性がある。我々はスペース赤外線望遠鏡、気球搭載赤外線望遠鏡(BICE)などで〔CII〕159ミクロン線の広域観測を行い、さらに、ヨーロッパの宇宙赤外線天文台ISOによる観測から〔OI〕63ミクロン、〔OIII〕52、88ミクロン、〔CII〕158ミクロン、〔NII〕122ミクロン、〔NIII〕157ミクロンのスペクトル線の観測を行った。これらのデータから、広がった光解離領域および広がった電離領域が星間空間の重要な構成要素であることを示すことができた。この研究は系外銀河の星生成現象の研究に直接つながるものである。
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