研究概要 |
本研究の主目標は,我々が開発・確立した超流体移送伝による「^3He-^4He混合液過飽和状態における相分離現象の研究」を,900mKまでの高温域,25気圧までの高圧域にまで拡張し,臨界過飽和濃度曲面の全体像を明かにすることである。そのために,試料セルの改良,コールド・バルブの増設,圧力計の改良などの諸準備を前年度より進めて来て,本年8月より実験を開始した。まず,混合液中の^3He濃度決定に必要となる純^4Heの密度の圧力依存性・温度依存性を上記広範囲の圧力・温度域に亘り明確にした。ついで,^3He-^4He混合液の相分離現象の本実験に入ろうとした矢先,福島県沖地震(1996.2.17)を受け,装置の冷却能力が劣化した。従って,一度室温に戻して,ダメ-ジを受けた箇所を明かにする必要が生じた。速かに修復を完了させ実験を再開する予定である。 核形成の理論面については,場の理論的立場からの取扱いを出発させ,古典的Lifshitz-kaganの取扱いとの対応関係を明かにしつつある。更に議論を進め,現実の^3He-^4He混合液に対応するFermi-Bose混合系についての場の理論的取扱いを構成する予定である。
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