1.Topex/Poseidon衛星による海面高度データを解析してジオイド高を求めるソフトウェアの開発をおこなった。とくに衛星軌道誤差については周期成分を取り除くCollinear Analysisおよび、バイアスをとりのぞくCross-over Adjustmentを考慮した手法を採用した。 2.点震源による結果を有限面積上で積分することにより、断層モデルから予言されるジオイド高変化の理論式を計算するソフトウェアを開発した。巨大地震により、数センチ以上のジオイド高度変化が見積もられた。この結果は、人工衛星の軌道精度が2cm以内にまで大幅に改善された現状を考えあわせると、地震による海面高度変化を検出できる可能性を確認したことになる。 3.次年度以降の計画 (1)海溝沿いに発生する巨大地震の断層モデルを人工衛星海面高データを使って求め、純地震学的に決定したモデルとの違いを明らかにする。一つ一つの地震を、大きく異なるタイムウィンドウで見ることにより、多面的な地震像を得る。 (2)地震学的手法だけではモデルを特定し得ない地震(例えば1993年7月の北海道南西沖・奥尻島地震)について、人工衛星海面高度データによって、断層モデルを決定する。 (3)通常の地震とは性格の異なるSlow EarthquakeおよびSilent Earthquakeの可能性が指摘されている地震につき、本手法によってその性格を解明する。
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