研究概要 |
CVD法によるダイヤモンドの気相成長において,基板としてタングステン板を用いるとダイヤモンドの核形成が著しく促進されることは,昨年度の研究で明らかになったが,本研究で用いたCVD法は基板上に温度勾配をつけているため、ダイヤモンドの周囲には主としてグラファイトからなる炭素物質が生成する。基板に接する部分には薄膜状カーボンができるが、それに加えて高温側では薄膜状カーボンからなるボール状集合体が、次いでカーボンナノチューブ、薄膜状カーボン、そして最も低温側にカーボンチューブが生成することがわかった。さらにカーボンナノチューブには結晶学的方位の異なるナノチューブが入れ子状に入っていたり、らせん状や紐状カーボンチューブも形成されることが判明した。このように生成温度によって、形成されるカーボンの形態が種々異なることは極めて重要な結果である。 また炭素質コンドライトの組織観察や斜長石温度計による生成温度の推定を行い、隕石母天体の推定や、形成過程の推測を行った。
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