研究概要 |
本研究は-100℃から200℃程度の温度環境下において飛翔体が衝突したときのCFRP積層板からなる構造内の損傷の発生および進展のメカニズムを究明し,異物衝突に耐えるCFRP積層板構造の開発のための基礎的知見を得ることを目的とする. 室温から150℃までの高温環境下において炭素繊維/エポキシ樹脂および炭素繊維/PEEEK樹脂の積層板にて直径5mmの鋼球を衝突させる衝撃実験を行った.この結果,いずれの温度においても衝撃エネルギーと層間剥離面積は室温と同様に線形関係があることが明らかになった.また温度の上昇とともに剥離面積が減少する傾向が見られた.なお,それぞれの層間ごとに剥離形状は温度に関して一様に変化するとは限らず,今後,検討する必要性がある.衝撃後の室温環境下において残留強度試験を行った.試験片により若干のばらつきが見られるものの衝撃時の温度の影響が見られず層間剥離面積で残留強度が決定されることがわかった.さらに損傷発生に影響する成型時の残留応力の解析方法について検討を行った. CFRP積層板の衝撃損傷には樹脂の熱粘弾性特性が大きく影響する可能性が認められた.そこで実験結果の考察および数値シミュレーションのために現在,CFRPの異方性熱粘弾性特性の測定を行っている.また低温から高温までの環境下で試験を行うために空圧式衝撃試験機と恒温炉を一体化を行った.来年度より低温下における衝撃実験を行う.
|