研究概要 |
コンピューター用の次世代超小型・超高密度記録装置実現のためにマイクロトライボロジーの基礎を確立することを目的とする本研究において,実施された研究内容は以下のとうりである. 1)磁気記録用ハードディスク媒体のための耐摩耗保護膜として、期待されている窒化ほう素膜をイオンビームミキシング装置により10nmから210nmの厚さで成膜し、各膜厚の表面形状をAFM(原子間力顕微鏡)を用いて測定した.その結果,表面形状が膜厚に依存し,大きく変化することを明らかにした. 2)次に,ナノスケールコンタクトにおける原子間力を考慮した接触機構を明らかにするために,1)で表面形状が測定された窒化ほう素膜に対して,AFMを用いてシリコン探針との間のPull-off forceを測定し,凝着力が膜厚に依存し,大きく変化することを明らかにした. 3)さらに,1)と2)で用いられた窒化ほう素膜に対し,FFM(摩擦力顕微鏡)を用いたnNオーダーの微小接触荷重下での摩擦力の測定が行われ,摩擦力がナノメータースケールの表面形状に大きく依存することが示された.特に,表面形状に関するパラメーターの中で,平均傾斜角と総突起数が摩擦力に大きな影響を与えることを明らかにした. 現在,3)の実験において発生するナノメータースケールの微小摩耗及び摩擦摩耗にともなう窒化ほう素膜の構造の変化を評価する実験を進行中である.
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