研究概要 |
本年度は、(411)A GaAs基板、(411)A InGaAs 混晶基板、(411)A InP基板上にMBE成長した、GaAs/AlGaAs,InGaAs/AlGaAs,InGaAs/InAlAs ヘテロ構造について報告する。 (1)GaAs/AlGaAsヘテロ構造 (411)A-GaAs 基板上に成長したGaAs/AlGaAs(x=0.3) 量子井戸(QW)で、ストークスシフトと重い正孔励起子の吸収半値幅が従来の(100)-GaAs基板上のQWで観測される値のそれぞれ1/2となっており、最も平坦なヘテロ界面が形成されていることを確認した。また、(411)A QWのホトルミネッセンス(PL)の発光寿命も(100)QWに比べて短く、励起子のコヒーレント体積が(411)A 界面の平坦化により増加していることが分かった。(411)A超平坦ヘテロ界面をもつGaAs/AlAs共鳴トンネルダイオード(RTD)を初めて作製し、従来の(100)RTDに比べて優れた負性微分抵抗特性(p/v=11.8,80K)が得られた。 (2)lnGaAs/AlGaAs ヘテロ構造 (411)A-lnGaAs(x=0.04)混晶基板上に成長した lnGaAs(x=0.04)/AlGaAs(x=0.3) QWで(100) lnGaAs基板上や(100)-GaAs,(411)A-GaAs基板上に成長した lnGaAs/AlGaAsQWより、平坦な界面が形成されていることがPL測定により確認された。 (3)lnGaAs/lnAlAs ヘテロ構造 (411)A lnP基板上に格子整合したlnGaAsのMBE成長技術を確立し、PLの発光半値幅も狭く、(100)lnP基板上より良質な lnGaAs 薄膜結晶が作製できるようになった。lnAlAsについては、表面モフォロジーも悪く、品質の改善には成長条件の改良が必要である。また、(411)A-lnP基板に格子整合したlnGaAs/lnAlAs QWでは、PLによる評価で(100)のものと比べるとまだその界面の平坦性が劣っており、成長条件の最適化が必要である。
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