研究概要 |
本年度は3年計画の初年度としての研究活動を行い,以下に述べる成果が得られた. 1.関東平野における地震観測網の補強 関東平野における既存の地震観測網を補強する目的で,地震観測システム3観測点分を新規に準備することとした.このため速度型検出器(水平2成分,上下1成分で構成する)3組とデジタルレコーダ3台を設備備品費で購入し,地震時の起動装置は手製で作成することにより,全体としての観測システムを完成させた.この時期に兵庫県南部地震(1995年1月17日)が発生したことから,研究計画を急遽変更し,完成した観測システム3組を神戸市東灘区に設置し,他の研究機関と協力して短期間の余震観測を行うこととした.本来の目的である関東平野内への補強設置は次年度以降に行う予定である. 2.関東平野におけるやや長周期地震動のアレー観測 既存の地震観測網による観測は順調に維持されており,神奈川県西部(1994.10.4.,M4.3)・北海道東方沖(1994.10.4.,M8.1)・三陸はるか沖(1994.12.28.,M7.5)・兵庫県南部(1995.1.17.,M7.2)等の地震記録が観測されている.これらの観測記録は逐次データベース化を行っており,本研究のためだけでなく一般の研究者からのニーズにも対応できるよう準備を進めている. 3.関東平野における地下深部構造のモデル化に関する検討 やや長周期帯域での強震動予測にとって地下深部構造のモデル化は重要である.対象地域での大局的な地下構造モデルはほぼ確立できたものと考えており,その研究成果については逐次研究発表を行っている.今後の課題としては,深さが1km以下の表層地盤モデルの精度が強震動の定量評価に影響することから,さらに検討を加えてゆきたいと考えている次第である.
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