研究概要 |
本研究では,これまで首都圏を中心とする関東平野を対象として行ってきた一連の関連研究の成果を踏まえ,同地域において今後予想されるM8級の巨大地震時のやや長周期地震動の特性評価を目的として,地震動のアレー観測に基づく実測データを重視した研究を実施している.また,1995年1月に兵庫県南部地震が発生したことから,神戸市東灘区においても同様の地震動アレー観測を実施している。本年度は3年間に亘る本研究の2年目の活動を下記の通り行った. 1.関東平野におけるやや長周期地震動のアレー観測[継続](瀬尾・山中・佐間野) 現有の観測設備を用いて観測を継続し,観測データの蓄積をはかった.本年度に購入予定の設備備品(ワークステーションおよびパソコン)は観測データベースの構築ならびに観測データの初期解析に用いられている.また,前年度に購入した地震観測装置を神戸市東灘区でのアレー観測に投入することにより数多くの地震動記録を蓄積し,兵庫県南部地震の解明に応用しようとしている. 2.M7級の地震を対象としたやや長周期地震動の特性評価(佐間野・山中) やや長周期地震動の特性評価に当たっては,まずM7級の地震をターゲットとして評価手法の確立に心がけている.関東平野と阪神地域とを対象として,M7級の地震による地震動評価結果の比較検討を行おうとしている. 3.M8級の地震を対象とした震源のモデル化に関する検討(瀬尾・佐間野・山中) 特にやや長周期地震動の生成過程に留意しながら,関東地震(1923)の際の関東地方広域でのスペクトル強度の推定を実際に試みた.その結果に基づき超々高層建築物の地震応答解析解析を行ったところ,風荷重と同等もしくはそれを上回る地震力であることが確認された.この点については次年度にさらに詳細な検討を行う予定である。
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