研究概要 |
本研究によって得られた研究実績の概要は以下の通りである. 1.関東平野におけるやや長周期地震動のアレー観測 やや長周期地震動の発生メカニズムの解明にとって重要と考えられる関東平野南西部の関東山地縁辺部に観測点を補強し,地震動のアレー観測を継続している.また,観測状況の把握と観測データの利用のためのデータベースを作成した. 2.M8級の地震を対象としたやや長周期地震動の特性評価 M8級の巨大地震によって関東平野内部に励起されるやや長周期地震動は関東平野の深部地下構造を反映したもので,従来より標準的地震動として設計実務に多用されてきた強震記録よりも,周期数秒以上のやや長周期帯域でより大きな勢力を有していることが明らかとなった. 3.やや長周期地震動からみた長大構造物の耐震設計ならびに設計用入力地震動の問題点に関する検討 上記の結果を設計実務に反映させるためには,設計者のみならず社会全般がM8級巨大地震をどのように受け入れるかについてのコンセンサスを得る必要があり,そのための基礎資料を提示することが可能となった. 4.観測データの公表 同種の地震観測を実施している他の研究機関と協力して,地震動観測データの相互利用システムを構築すべく努力した.この点については現在,日本建築学会強震観測小委員会において実現しつつある状況にある. 5.総括 以上を総合して,本研究目的はほぼ当初の計画通り達成することができた.
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