研究課題/領域番号 |
06402058
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉山 雄一 東京大学, 薬学部, 教授 (80090471)
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研究分担者 |
山崎 雅代 東邦大学, 薬学部, 講師 (40240741)
加藤 将夫 東京大学, 薬学部, 助手 (30251440)
寺崎 哲也 東京大学, 薬学部, 助教授 (60155463)
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キーワード | 担体輸送 / 肝輸送 / 胆汁排泄 / 肝取り込み / 能動輸送 / 有機アニオン / ペプチド性化合物 / 輸送担体欠損ラット |
研究概要 |
(1)正常ラットを用いた輸送解析:正常ラットを用いてin vivo系、in vitro系、肝灌流系で、肝取り込み、胆汁排泄実験を行い、分子レベルでの研究の地固めを行った。薬物としては、肝での取り込み、排泄機構の異なると考えられる以下の化合物を用いた。(1)有機アニオン系化合物:肝機能検査薬(BSP,ICG,HMG-CoA還元酵素阻害薬(プラバスタチン等)、各種抗生物質。肝取り込み過程については、これら化合物は相互に競合的阻害を示したことから、単一の輸送担体の関与が考えられたが、駆動力については未だ明かになっていない。一方、胆汁排泄過程については、相互阻害の実験や後述の疾患モデルラットを用いた解析等から、multipleな輸送担体の関与を示唆する結果を得た。(2)有機カチオン系化合物:H2-拮抗剤(シメチジン等)を用いて解析したところ、単一の輸送担体を介した能動輸送により肝臓に取り込まれることが示された。(3)低分子性のペプチド:エンドセリン受容体拮抗剤、環状のソマトスタチン誘導体などのように、3-10個程度のアミノ酸からなる小ペプチドの肝取り込みおよび胆汁排泄の両過程に輸送担体の関与することが明かになった。また、胆汁排泄過程に一次性能動輸送の関与することを膜ベシクルを用いた実験により明かにすることができた。(4)オリゴヌクレオチド:近年、アンチセンス医薬品が注目され始めているが、オリゴヌクレオチドの体内動態については全く情報がなく、肝での動態を調べることは有意義であるとの考えのもとで検討を行ったところ、肝取り込みに輸送レセプターが関与する可能性を支持する結果が得られた。この輸送は有機アニオン類により阻害されたが、速度論解析により両者の輸送担体は異なるものと考えられた。 (2)疾患モデルラットを用いた輸送解析:遺伝的疾患ラット(遺伝的に胆管側細胞膜上の有機アニオン輸送担体が欠損しているEHBR)を用いて、上記薬物の幾つかを選択し、血中消失挙動を解析し、肝灌流系、遊離肝細胞系などの結果と統合することにより各素過程を表すパラメータを求めた。こうした解析により、有機アニオン類に対する輸送担体は単一でなく、最低3種類の担体の存在が示唆された。
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