研究概要 |
平成6年度の研究成果を基に,ボリューム・レンダリング専用並列計算機ReVolver/C40プロトタイプの試作を行った。 ReVolver/C40は,レイキャスト,ピクセル計算,シェ-ディングの3つのステージでマクロパイプラインを構成する.各ステージ内では,それぞれの処理形態に応じ,並列処理あるいは細粒度パイプライン処理を行い,高速描画の要求に答える. ReVolver/C40のグラフィックス機能の特徴としては,リアルタイム処理,遠近法を用いた表示,半透明物体の表示,ボリューム・レイトレーシングなどがあげられるが,これらのグラフィックス性能を左右するのはピクセル計算ステージである.1つの視線と交わる全てのボクセルを競合なしにアクセスできるか否かが特に重要である.そこで,ReVolver/C40では,3重化されたボリュームメモリを採用し,かつ主軸方向でサンプリングする方式を採用することで,任意方向の視線に対して,並列ボクセル・アクセスを可能とした. プリント基板設計時点での設計データに基づく計算では,ピクセル計算ステージをDSP(TMS320C40, 50MHz)128台で構成した場合の描画速度は,毎秒2.5枚となった.ReVolver/C40はスケーラビリティを持たせた構成を採っているので,DSP数に比例した高速描画が可能である. 一方,ReVolver/C40の要である3重化メモリは,容量が大き過ぎるという問題がある.そこで単一メモリ構成でしかも視線上の並列ボクセルアクセスが可能なメモリ構成の研究を行なった。これは視点からの視角を54度以下に制限することで達成できる.科学技術計算結果や医療画像は広角で見る必要はないので,この方式も有効と考えられる.
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