研究分担者 |
藤田 秀二 北海道大学, 工学部, 助手 (30250476)
前 晋爾 北海道大学, 工学部, 教授 (80022672)
香内 晃 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (60161866)
河村 俊行 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (50091434)
古川 義純 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (20113623)
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研究概要 |
本研究の目的は、南極で採取された氷床コアの物性を解析することによって,氷期・間氷期・遷移期それぞれの時期における気候・環境変動の特徴を明かにすることにある。本年度は,測定方法・解析方法の検討・確立を目標として,ボストーク・コアの解析を行い以下の成果を得た。 (1)気泡およびクラスレート水和物の分布 X線コンピュータ・トモグラフィおよびX線回折法を用いて,気泡の数密度およびクラスレート水和物のサイズ分布の測定方法をほぼ確立し、それらが過去の氷床の表面温度を反映していることを見い出した。同位体組成とは違う意味での温度指標として注目している。 (2)空気組成気体の分布と氷床中の空気の挙動 顕微ラマン分光測定装置を用いて,クラスレート水和物に含まれるN_2とO_2の組成比を決める方法およびX線回折法を用いてクラスレート水和物中のN_2とO_2の水分子に対する割合を決める方法を確立した。これによって,N_2/O_2比が必ずしも一定ではなく気候変動に伴って変動する傾向を見い出した。これを説明し得る物性論的な検討が今後の課題である。 (3)不純物の分布 マイクロ波帯での誘電率測定の感度と精度を大幅に向上させることによって,氷床コア中の微量不純物の検出が可能であることを確認し,リモートセンシングと氷床コア解析を結ぶ新たな研究の展開が始まりつつある。氷床コアの1地点の情報を広範囲に広げて解釈するのが今後の課題である。 (4)氷床の動的挙動 氷床中の空気分子の挙動を分子動力学シミュレーションで追跡可能であることを明かにした。変床変動については,ソフトウェアの開発途中であり、今後の課題である。
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