研究課題/領域番号 |
06402066
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
本堂 武夫 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (60109494)
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研究分担者 |
前 晋爾 北海道大学, 工学部, 教授 (80022672)
香内 晃 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (60161866)
河村 俊行 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (50091434)
成田 英器 北海道大学, 低温科学研究所, 講師 (20001662)
古川 義純 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (20113623)
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キーワード | 氷床コア / 気候変動 / 古環境 / 大気組成 / クラスレート水和物 / X線回折 / ラマンスペクトル |
研究概要 |
本年度は、これまでに確立した測定・解析手法を用いて以下の成果を挙げた。解析に用いた試料は、南極ボストークで採取された氷床コアである。 水和物の分布と生成過程:クラスレート水和物の分布を深さ3000mまで測定し、同位体組成(気温)の変動とあわせて、氷期・間氷期変動の2周期をこえるデータを得た。水和物の分布が氷床表面温度の良い指標であることが鮮明になった。 空気組成気体の分別過程:ラマン散乱測定によって、クラスレート水和物中のN_2/O_2比を測定した。その結果、本来の大気組成とは違う組成比で、しかも個々の水和物に依存して大幅に変化することを見い出した。また、これまでの常識に反して、クラスレート水和物のラマンスペクトルが結晶異方性を持つことも明らかになった。これは、これまでのN_2/O_2比の測定方法では、正しい値が得られなかったことを示しており、偏光ラマンスペクトルによって、これを解決できる見通しを得た。一方、分子動力学シュミレーションによって、クラスレート水和物中の気体分子(N_2,O_2)が特定の面内で回転していることを見い出し、ラマンスペクトルの異方性の原因も明らかになりつつある。 不純物の分布:レーザトモグラフィで、光を散乱する異物が層状に存在することを見い出し、その分布に含まれるイオン性不純物を今年度導入したイオンクロマトグラフィーで分析した。その結果、散乱体の多い部分でイオン濃度が高くなる傾向を見い出した。一方、X線回折法では、散乱体の多い部分には、微少なクラスレート水和物が高密度で存在することが明かになっている。このような分布の成因を採ることが今後の課題である。 氷の年代決定の可能性:低振動数域のラマンスペクトルの強度に明瞭な深度依存性を見い出し、それが、氷の年代を反映するものであることを見い出した。なお、確証を得るための測定が必要であるが、氷床コア研究に画期的な新手法をもたらすものと期待している。
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