研究概要 |
(1)平成6年度末に本科研費補助金により納入された「超小型急速冷却HIP」(ガス圧式高温高圧発生装置)が仕様に指定したとおりの性能(最高圧力2000気圧,最高温度1500℃、プログラム化された温度・圧力の制御)を示すことを確認した。 (2)ガス圧式高温高圧発生装置およびピストンシリンダー型高温高圧発生装置を用いて1200-1400℃、0.2-1.2GPaの条件で玄武岩〜流紋岩組成の含水ガラスを合成した。これらの試料の赤外・近赤外光吸収スペクトルを顕微フーリエ変換赤外分光光度計により測定し、溶存水のモル吸光係数を決定した。 (3)ガス圧式高温高圧発生装置を用い、1200℃、10-100MPaの条件で玄武岩メルトへの水の溶解度を決定した。この温度・圧力領域では、圧力の上昇とともに溶解度が1wt.%から3wt.%まで増加することがわかった。さらに得られたデータについて熱力学的な解析をおこない、溶解度の圧力依存性を支配する熱力パラメータを決定した。これは噴火直前に相当する圧力条件における玄武岩メルトへの水の溶解度を決定した最初の実験結果であり、玄武岩マグマの脱ガスプロセスの解明に基礎的なデータを提供した。 (4)単一のマグマバッチの上昇・噴火によってもたらされた天然火山岩試料として、雲仙火山1991年噴火および富士火山1707年噴火の噴出物を入手し、それらのH20濃度、水素同位体比および2価鉄濃度の変化の解析した。粘性の非常に高い雲仙火山ではマグマが地表に近づいてからは水は拡散に支配されて脱ガスすることがわかった。また富士山1707年の玄武岩マグマが発泡しつつ地表に噴出する際には水のかなりの部分が水素ガスとして脱ガスすることがわかった。
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