研究概要 |
時間分解FTIRとEXAFS(広域X線吸収微細構造)システムを用いて、本年度はミクロ細孔反応場内の金属クラスターの分解【double arrow】再形成の動力的解析とNaYゼオライト細孔内Au(I)によるNO分解及びCOあるいはH_2によるNO還元反応の反応機構に関する研究を行い、以下の研究成果を得た。 1.[Pt_<12>(CO)_<24>^<2->]はNOとの反応で、Pt-Pt結合の解離に伴い、10-20Sの間にクラスター骨格の分解が進行し″[Pt_3(μ_2-CO)_3]″″Pt_3(CO)_6″(υ_<co>=2070,1950,1870cm^<-1>)と単核Pt(CO)(ν_<co>=2110cm^<-1>)に変換され、気相にN_2(N_2O)とCO_2が生成することを高速FTIR及びEXAFS測定から明らかにした。またNOガス排気後、CO導入するとPt(CO)は″Pt_3(CO)_6″中間種を経由して元のPt_<12>(CO)_<24>^<2->(ν_<co>=2076,1860cm^<-1>)に再構築され、気相にCO_2が生成した。NO+CO混合ガス下では[Pt_<12>(CO)_<24>]^<2->/NaYクラスター構造を保持して300〜343KでNO還元反応[NO+CO→N_2(N_2O)+CO_2]が触媒的に進行することを明らかにした。 2.FSM-16の一次元メソ細孔チャンネル(2.7,4.8Å径)内に含浸担持したII_2PtCl_6はイソプロパノール,CO,水の存在下で紫外線照射により鋳型還元反応が進行しチャンネル細孔と同じサイズのナノ白金細線の(2-4nm径×50-200nm長)がメゾ細孔内に生成されることをEXAFS及び電顕観察で初めて見いだした。ナノ細線の形成過程においてPt_<15>(CO)_<30>^<2->の生成をin situ高速IR測定で明らかにした。 3.Au(I)/NaY触媒はNOの分解及び還元反応に高活性を示す。In situ高速IR測定及びEXAFS解析により、NOはミクロ細孔内の複核Au(I)上で解離し、吸着NとCOの反応で生成する″NCO″種を反応中間体にして進行することがわかった。さらに、H_2添加により解離吸着酸素が除去されてNO解離が促進し、NO+CO反応の転化率が10数倍に増大する顕著な水素促進効果を見いだした。
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