研究概要 |
5μsの時間分解能を持つステップスキャン式FT-IR (Bio-Rad,FTS-60A/896)とYAGレーザー(SpectraPhysics GCR-100),波長変換素子MOPO (Spectra Physicsからなる時間分解FTIRシステムの立ち上げを行った。この時間分解FTIRシステムを用いてまずNi/SiO2,Pt/SiO_2上に吸着したCOの光脱離、再吸着過程を検討し室温,10kPaではCOの再吸着は10-100μsのオーダーの過程であることを明らかにした。ステップスキャン方式の波長可変レーザー励起トリガーを用いるμsの時間分解FTIRシステムでの測定により、さらにゼオライト細孔内金属クラスターの光励起・緩和の挙動をmsオーダーでの時間分解測定を行った。また担持金属触媒表面のCOの吸脱着過程の光や熱ジャンプに伴うμs動的挙動の検討を行い、以下の主たる研究成果が得られた。 1.[Pt_<12>(CO_<24>)]^<2->/NaYによる水成ガス反応の光触媒作用の光活性過程における光及び熱的ジャンプに対する応答挙動を調べた。その結果クラスターの光励起に基づく配位H_2Oの熱的活性化による水性ガス反応の促進メカニズムを提案した。 2.Rh/SiO_2やNi/SiO_2触媒表面上でCOの分解・C-H結合の生成が起こるが、CO水素化反応の進行中の触媒表面上の[CHx]及び[O-H]表面化学種の動的挙動に関して時間分解IRの測定解析を行った。 3.時間分解FTIRとEXAFS(広域X線吸収微細構造)システムを用いてミクロ細孔反応場内の金属クラスターの分解【double arrow】再形成の動力学的解析とNaYゼオライト細孔内Au(I)によるNO分解及びCOあるいはH_2によるNO還元反応の動的反応機構に関する研究を行った。 4.Au(I)/NaY触媒はNOの分解及び還元反応に高活性を示す。In situ高速IR測定及びEXAFS解析により、NOはミクロ細孔内の複核Au(I)上でCOの反応で生成する“NCO"種を反応中間体にして進行することがわかった。さらに、H_2添加により解離吸着酸素が除去されてNO解離が促進し、NO+CO反応に対する顕著な水素促進効果のメカニズムを明らかにした。
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