研究課題/領域番号 |
06403007
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
広田 襄 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90093301)
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研究分担者 |
木村 佳文 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60221925)
寺嶋 正秀 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00188674)
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キーワード | 過渡回析格子 / 励起分子ダイナミックス / 電子移動反応 / 並進拡散 / 超臨界流体 |
研究概要 |
前年度に整備した装置を用いて、過渡回析格子(TG)法による実験を中心に以下の研究を行った。 (1)ピコ秒領域でのTG法および過渡吸収法による分子および反応ダイナミックスの研究:(1. 1)無放射課程が支配的で励起状態の性質がまだよく理解されていない分子、9, 10-ジアザフェナントレンおよびニトロベンゼンとその誘導体について詳しい研究を行い、T_1状態のエネルギーと寿命、項間交差の収率などを決定し、無放射過程の速い原因を考察した。(1. 2)熱の放出と共に瞬時に現われる温度変化による屈折率の変化で生じるグレーティングを検出するこに初めて成功し、その温度変化を理論の予測と比較検討するとともに、これを用いて塩化鉄(III)水溶液および2-ヒドロキシベンゾフェノンのSDS水溶液におけるピコ秒領域のダイナミックスを研究した。(1. 3)超臨界状態のCO_2中で、溶媒の密度を変えてヘキサメチルベンゼン/テトラシアノエチレン錯体における電子移動反応の速度を測定し、反応速度が溶媒の密度の増加と共に増加することを見い出し、Marcus-Jortner理論の予測と比較検討した。 (2)ナノからミリ秒領域におけるTG法における新展開:(2. 1)ラジカルの並進拡散についてさらに研究を進め、拡散定数と分子の大きさとの関連、拡散定数の温度依存性を詳細に検討し、ラジカルの拡散が親分子より遅い原因を追求した。(2. 2)TG法を用いて光反応におけるエンタルピーと反応体積の変化を測定する手法を開発し、ジフェニルシンクロプロペンの光反応に応用して反応体積変化の溶媒依存性を検討した。(2. 3)超臨界流体における輸送性質の測定に初めてTG法を適用すると共に、スピロピランの光異性化で生じた電荷分離種および、カルボニル分子の水素引き抜き反応で生じたラジカルの拡散係数の溶媒密度依存性を詳細に検討した。(2. 4)新しい原理に基づくTG法を用いての円2色性の検出に成功し、円2色性の測定にナノ秒の時間分解を持たせた。
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