研究概要 |
〔NH_3Pv^ζ〕_4〔V_4O_<12>〕を含む水溶液にアルコール例えばMeOHを加えK_2CO_3によりpH9.4に調整した溶液にUV光照射することにより4〔V_4O_<12>〕^<4->+CO_3^<2->+4MeOH→^^<kv>〔V_<15>O_<36>(CO_3)〕^<7->+VO_4^<3->+80H^-+4HCHOの式に従って黒褐色のK_3H_2〔V_<15>O_<36>(CO_3)〕・14.5H_2Oが得られた。これはX線構造解析によって結晶構造が明らかにされた。このアニオンはV^<IV>が8個,V^Vが7個の酸化物の混合原子価錯体であり,CO_3^<2->が〔V_<15>O_<36>〕^<5->の中心にカプセル化され,アニオン骨格の3配位架橋酸素原子の2個はH^+と結合していた。V_<15>体の有効磁気モーメントの測定結果はV^<IV>原子間の反磁性相互作用の存在を示した。同じアニオンの生成はNa_3VO_3,NaOHを含む水溶液にCO_2をパ-ジして得られるpH9の溶液についても認められ,これはCO_2を光化学的にCO_3^<2->としてカプセル化する新しい反応であることが判明した。その他のアニオンも同様に光カプセル化されることはpH調整剤としてHCl,HNO_3等を用いたとき類似の球体クラスターが得られることから明らかでありこの場合,被カプセル分子により球体クラスターの構造は異なることが判明し例えばHCl,NaN_3の場合,〔V_<18>O_<42>(Cl)〕^<9.5->,〔V_<18>O_<44>(N_3)〕^<7->がそれぞれ得られた。光化学反応はO→VのLMCTの励起三重項状態と電子供与体との酸化還元反応を経由して起こることがCIDEPスペクトル測定より明らかとなった。
|