人工オングストローム細孔を各種方法によって調製するよう試みた。第1には多環芳香族分子構造が配向しているポリイミド膜をCO_2にて炭化・賦活して、スリット型ミクロ孔が配向している細孔体を調製した。第2には活性炭素繊維(ACF)を900°C以上の高温にてAr中で加熱して、細孔径と細孔状態を制御した。メソ孔性カーボンアエロジェルにCO_2中での900°C加熱によって、ミクロ孔を賦与した。更にフラレン結晶の点欠陥濃度を生やし、ミクロ孔を導入した。以上のように制御されたグラファイト性個体スペースを創製後、適した手法によって構造を決定した。 ポリイミド膜からの炭素膜は原子間力顕微鏡によるとミクログラファイトが膜主要面に平行に配向している。更にX線回折の異方性からも、ミクロ孔の配向構造が明らかにされ、ミクロ孔中の分子挙動の詳細を調べるのに適することが明らかになった。4.2Kでのヘリウム吸着はウルトラミクロ孔の微細構造を明らかにするのに有力であることが示され、カーボンアエロジェルの細孔もメソ孔とミクロ孔が系統的に制御可能であった。フラレン結晶中のスペースは円筒状と近似できることがわかった。 ミクロ孔中のH_2O、CCl_4についてはその場X線回折法によって、細孔空間の大きさに応じた分子集団構造をとることが示された。H_2Oは30°Cでも氷様であり、-150°Cにおいてもその基本構造は変わらなかった。CCl_4についてはプラスチック結晶類似の特殊構造が見出された。このことはグランドカノニカルモンテカルロシミュレーションによっても支持された。 以上のように制御されたミクロ孔の創製、キャラクタリゼーション、その中の分子挙動研究は大変重要なものである。
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