研究概要 |
液-液界面反応における化学種の界面濃度分布解析の基礎を確立するため,深き方向分析が可能な全反射を利用した時間分解レーザー蛍光測定系の試作構成を行った。測定に及ぼす種々の要因の基礎的検討を行い,水-ヘキサン界面近傍に存在する化学種の蛍光寿命測定がサブn秒で可能となった。 また、界面吸着単分子層レベルの情報収得のため,非線形効果(第二高調波発生:SHG)を利用する測定系の試作開発を行った。液-液界面よりも界面状態を規程しやすい石英-水の界面を対象として測定系の検討とデータ解析法の確立を図った。従来SHGの測定は固定波長で行われていたが,励起光を波長可変とすることで,界面吸着分子のみの電子スペクトルをバルクの影響を受けることなく測定することに成功した。この共鳴SHGスペクトルを用いて,石英表面に吸着するロ-ダミンBの状態解析を溶液のpHをパラメータとして行った結果,シラノール基の解離増大と共にロ-ダミンBの吸着量が増大すること,また,高pHでのスペクトルから,シラノール基の解離が進むと,ロ-ダミンが二量体として界面に吸着することが示唆された。以上の新たに試作した測定系については次年度以降実際的測定・解析へ展開する予定である。 液-液界面における特異的錯生成反応について,長鎖を有する8-キノリノール誘導体を配位子とする錯生成について,ヘプタン水界面でNi^<2+>とZn^<2+>の反応をとりあげ,速度論的解析を動的滴溶法により行った。界面張力の経時変化を測定することにより配位子は拡散支配によって界面に吸着すること,またZn^<2+>との錯生成は拡散支配であるが,Ni^<2+>では界面への吸着速度が界面での錯生成に支配されていることを明らかにした。 この他ミセルへの選択的分配を利用した分離法の基礎的検討や応用研究などを進めた。
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