1.ヘテロポリ酸及びその酸性金属塩のシリカマトリツクスへの固定化。 3種のα-keggin型ヘテロポリ酸(H_3PW_<12>O_<40'>H_4SiW_<12>O_<40'>H_3PMo_<12>O_<40>)及びこれらのCs、Rb、K、NH_4、有機アンモニウム酸性塩を、エタノール中、オルトケイ酸エチルを加えて加水分解することにより、高活性固体酸解媒として機能する分離・回収の容易な新規シリカ-ヘテロポリ化合物複合体を調製することに成功した。エタノールに可溶な遊離ヘテロポリ酸については、12-タングストリン酸が最も効果的にシリカ中に固定化できた。 2.シリカ-ヘテロポリ化合物複合体の物性評価。 シリカ-Ca_<2.5>H_<0.5>PW_<12>O_<40>塩複合体は450℃まで安定で20Å以下の均一な細孔構造を持ち、粒子径100ÅのCs_<2.5>塩がシリカマトリツクス中に堅固に固定化されている。シリカ-H_3PW_<12>O_<40>複合体の熱安定性は150℃であり、高温では複合体の安定性は悪くなる。複合体中のH_3PW_<12>O_<40>は100〜200Å程度の凝集体としてシリカ細孔(20Å以下の均一な細孔)中に固定化されている。ヘテロポリ化合物はシリカ複合化後も強い酸強度をそのまま保持し、水中においても+0.8以下のH_O値を示し、H^+型ZSM-5ゼオライトより強い固体酸として機能する。 3.シリカ-ヘテロポリ化合物複合体のエステル加水分解触媒機能の評価。 水過剰条件下、80℃における酢酸エチルの加水分解において、シリカ-Cs_<2.5>H_<0.5>PW_<12>O_<40>塩複合体の酸点当りの活性は、スルホン酸型のイオン交換樹脂Amberlyst-15やH^+型ZSM-5ゼオライトよりも高く、リサイクル使用も可能である。シリカ-H_3PW_<12>O_<40>複合体も同様の高い加水分解活性を示し、リサイクル使用も可能で、両複合系固体酸は水のような極性の高い反応媒体に適用できる新しい触媒として期待できる。
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