研究課題/領域番号 |
06403024
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山本 尚 名古屋大学, 工学部, 教授 (10135311)
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研究分担者 |
斎藤 進 名古屋大学, 工学部, 助手 (90273268)
石原 一彰 名古屋大学, 工学部, 助手 (40221759)
柳澤 章 名古屋大学, 工学部, 助教授 (60183117)
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キーワード | ルイス酸型レセプター / アルミニウム反応剤 / デザイン型ルイス酸 / ルイス塩基 / 選択的有機合成 / 分子認識化学 / ルイス酸塩基複合体 |
研究概要 |
当研究室で開発されたアルミニウム反応剤をルイス酸型人工酵素(ルイス酸型レセプター)として用い、各種カルボニル化合物をルイス塩基としてルイス酸塩基複合体形成に基づく分子の捕捉を試みることによって、これらルイス酸型レセプターの分子認識能、およびその合成的応用について検討し、以下の成果を上げた。 (1)当研究室で開発されたアルミニウム反応剤、アルミニウム トリス(2,6-ジフェニルフェノキシド)(ATPH)をルイス酸型レセプターとして用い、各種アリルビニルエーテルのクライゼン転位反応における立体選択性について検討したところ、他の既存のアルミニウム反応剤と比べてATPHが極めて有効であることを見出した。ルイス酸を合理的ににデザインすることが選択的有機反応にとって重要であるであることを示す一例であるといえる。また、この知見を利用して、ビナフチル骨格に基づく光学活性な配位子を合理的にデザインし、その合成に成功した。この配位子を用いて、非常に単純な構造を持つアリルビニルエーテルの不斉クライゼン転位反応を行ったところ、高い光学純度(87〜92%ee)で所望のアルデヒドを得ることが出来た。 (2)ATPHがα,β-不飽和カルボニル化合物のカルボニル炭素を求核剤の攻撃から保護するという知見を芳香族カルボニル化合物に適用したところ、求核剤が高選択的に共役付加を起こすことを見出した。芳香物化合物に対する共役付加反応はニトロベンゼンなどの特殊な化合物に限られていたが、アルミニウム反応剤の合理的なデザインとその反応性の予測、検討、適用の根気ある繰り返しが、従来困難とされてきた合成反応おいて実を結んだといえる。
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