研究課題/領域番号 |
06403026
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小林 四郎 東北大学, 工学部, 教授 (10026198)
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研究分担者 |
宇山 浩 東北大学, 工学部, 助手 (70203594)
正田 晋一郎 東北大学, 工学部, 助教授 (10143364)
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キーワード | 酵素触媒重合 / ペルオキシターゼ / ポリフェノール / セルロース / セルラーゼ / リパーゼ / ポリエステル |
研究概要 |
本研究ではペルオキシダーゼ触媒によるフェノール類の酸化重合を検討した。触媒に西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を用い、有機溶媒-緩衝液混合溶媒中、大気下、室温で重合を行った。1、4-ジオキサン-リン酸緩衝液(80:20vol%)中でフェノールの重合を行ったところ、微黄色の粉末状ポリマーが収率72%で得られた。生成ポリマーは部分的にDMF、DMSOに可溶で、可溶部の分子量は35000であった。ポリマーの構造をIRにより分析したところ、フェニレンユニットとオキシフェニレンユニットの混合体であることがわかった。また、p-アルキルフェノールも同様の条件下で重合し、分子量5000程度のポリマーを与えた。 我々はすでにフッ化β-セロビオシルをモノマーとする酵素触媒重合法により、試験管内でセルロースを作り出すことに初めて成功している。本研究では精製セルラーゼ酵素を用いて本重合を検討した。電子顕微鏡により合成セルロースを観察したところ、繊維状のフィブリル生成が顕著に認められた。このフィプリルの電子線回析を調べたところ、準安定なセルロースI型であることが判明した。 また、酵素触媒による新規ポリエステル合成法として、ジカルボン酸ジビニルエステルとグリコールの反応を開発した。穏和な条件下で重合が進行し、分子量7000の脂肪族ポリエステルが得られた。同様の反応をジカルボン酸あるいはジカルボン酸ジエチルエステルからはポリマーは得られず、ジビニルエステルの酵素触媒重合用モノマーとしての有用性が明らかとなった。
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