相同組換えの中間体Holliday構造の移動と解離の分子機構

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06404002
• 研究種目: 一般研究(A)
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 品川 日出夫 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (40029799)
• 研究分担者: 雨村 光子 大阪大学, 微生物病研究所, 教務職員 (80159467) ; 岩崎 博史 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (60232659)
• キーワード: DNA組換え / DNA修復 / Holliday構造 / RuvCタンパク / エンドヌクレアーゼ / X線結晶回折 / ミュータント / 染色体

研究概要

本年度は組換え中間体Holliday構造を切断して解離するエンドヌクしアーゼRuvCの構造と機能の相関関係の解析を重点的に進め以下の成果を得た.
1.RuvCの基質特異性を調べるために、合成DNAを利用して、種々の構造のモデルDNA基質を作成し、RuvCとの結合性や切断反応を検証した.その結果、RuvCは交差点の移動が可能な十字型DNAを効率よく切断することが判明した。
2.RuvCタンパクを結晶化して、X線回折によってRuvCの三次元構造を原子レベルの解像度で解明した.
ruVC遺伝子のミュータントを多数分離し、それらの表現型、突然変異部位を解析し、RuvCタンパクの三次元構造と対応させて、RuvCの活性中心、二量体形成、DNA結合などのモチーフが想定できた.
ruvA,ruVB,ruvCミュータント株ではDNA損傷を受けると染色体分離がおこらなくなって、多数の無核細胞を産生することを観察した.この結果はDNA損傷を受けた細胞では組換え中間体が形成され、その分離にRuvA・B・Cタンパクの機能が必要であることを支持している.
大腸菌のruvCミュータントを相補するPseudomonas aeruginosa(グラム陰性菌)のruvC遺伝子をクローニングして解析した。その結果、大腸菌と異なりruvC,ruvA,ruvBの3つの遺伝子は連続していて、多分オペロンを形成していると思われる遺伝子配置をしていることが判明した.
部位特異的突然変異法でRuvCタンパクの酸性アミノ酸13個全てを類似のアミノ酸に置き換えたミュータントを作成してin vivoおよびin vitroを解析した.その結果、4個の酸性アミノ酸がエンドヌクレアーゼの活性中心を形成し、二価陽イオン相互作用をすることが明らかになった.

研究成果

• [文献書誌] Ishino,Y.,Iwasaki,H.,Kato,L,Shinagawa,H,: "Amino acid sequence motif essential to 3'→5'exonuclease activity of Escherichia coli DNA polymerase II." J.Biol.OChem.,. 269. 14655-14660 (1994)
• [文献書誌] Tahahagi,M.,Iwasaki,H.,Shinagawa,H.: "Structual requirements of substrate DNA for binding to and cleavage by RuvC、 a Holliday junction resolvase.21GC02:J.Biol.Chem.," 269. 15132-15139 (1994)
• [文献書誌] Ariyoshi,M.,Vassylyev,D.G.,Fujishima,A.,Iwasaki,H,Shinagawa,H.,Morikawa,K.: "Preliminaly crystallogradphic studv of Excherichia coli RuvC protein:an endonuclease specific for Holliday junctions." J.Mol.Biol.,. 242. 281-282 (1994)
• [文献書誌] Ariyoshi,M.,Vassylyev,D.G.,Iwasaki,H.,Nakamura,H.,Shinagawa,H.,Morikawa,K.: "Atomic structure of the RuvC resolvase:a Holliday junction Specific enconuclease from E.coli." Cell. 78. 1063-1072 (1994)
• [文献書誌] 品川日出夫: "組換え修復の遺伝学と酵素学" 細胞工学. 13. 720-731 (1994)
• [文献書誌] 品川日出夫: "臨床分子生物学(分担執筆:DNA修復と突然変異・癌)" 日本臨床, 6 (1994)