1.分裂シグナル伝達 Rhoタンパク質 : 分裂酵母のrho遺伝として新規のものを見い出し、rho5と命名した。rho1の遺伝子破壊株は生育不能であり、rho1が必須遺伝子であることが分かった。Rho1は蛍光抗体法とGFP融合タンパク質の発現から間期の細胞の成長端と分裂期の細胞の隔壁部に局在することがわかった。その過剰発現は形態異常、アクチン分布の異常、細胞壁厚化を引き起こした。Rho2の過剰発現は致死性で細胞形態の異常化、細胞壁の厚化を引き起こした。rho3遺伝子の破壊は細胞形態の異常と分裂の異常を引き起こした。rho4遺伝子の破壊は細胞極性の異常、細胞分裂異常を引き起こした。 2.収縮環の構造とその形成 (1)分裂溝特異タンパク質 : 前年度に単離分裂溝に局在することが知られたEFIαとEF1βにつき前者はアクチン繊維を束ねる活性を持ち後者はそれを抑制することが分かった。(2)アクチン調節タンパク質 : ウニ卵からF-アクチンアフィニティーカラムクロマトグラフィーを用いて見い出された新しいアクチン調節タンパク質のうち60Kタンパク質はコロニン、150Kタンパク質はミオシン6であることがわかった。単離表層を用いた蛍光抗体法によりこれらのタンパク質と昨年同定したARP3は分裂溝に分布することが分かった。ウニARP3の遺伝子をクローニングした。分裂酵母のARP3のクローニングを行い、この遺伝子を破壊したところF-アクチンパッチの局在性が失われた。また分裂溝に局在するウニ卵ABP40はアクチン繊維切断活性を持つことがわかった。 (3)分裂酵母を用いた免疫電顕 : 分裂酵母を急速凍結して試料を作製し、免疫電顕法を行ったところ、アクトンとトロポミオシンは収縮環に局在するが、ARP3は収縮環にはないことがわかった。
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