研究課題/領域番号 |
06404007
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研究種目 |
一般研究(A)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高柳 謙治 筑波大学, 農林学系, 教授 (20251019)
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研究分担者 |
有隅 健一 鹿児島大学, 農学部, 教授 (40035100)
半田 高 筑波大学, 農林学系, 助手 (00192708)
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キーワード | ツツジ / 遺伝子移入 / RAPD / 形態形質 |
研究概要 |
今年度は、九州霧島山系において二度に亙る現地調査とサンプリングを行った。高山域に分布するツツジである‘ミヤマキリシマ'から低山域に分布する‘ヤマツツジ'までを、標高に沿いながら踏査し、両種の純系とそれらが交互に接している境界域において各地点のツツジ集団を、形態学・生物季節学的に測定調査した。その結果、環境の影響を受けやすい形質と、遺伝的に安定している形質とを区別することができた。この内、遺伝的な形質から見て、両種は明らかに異なる形質を有しており、また、雑種分布域では両種の中間的な形質を連続的に示すことが明らかとなった。特に、中間体の雑種分布域では様々な花色と草姿を持つ個体が認められ、両種の遺伝子移入とこれら雑種群がツツジ園芸品種成立の母本となった可能性が強く示唆された。 形態調査を行った個体からは全て、DNA分析用の葉をサンプリングした。サンプリングした葉は直ちに低温で輸送し、超低温フリーザ-にて保存した。これら約350個体のDNA抽出にあたり、通常の方法では抽出に困難を極めたため、まず初めに抽出法の検討を行った。その結果、抽出が困難な‘ミヤマキリシマ'においても分析可能な十分量のDNAを得ることが可能となった。また、同時にこのDNA抽出法の検討過程においては、ツツジ属の各種・品種群を分類群に従って一通り調査し、種・品種群毎のDNA抽出の難易性を明らかにした。抽出したDNAを用いて、DNA解析の一つであるRAPD法を試みた。種々の反応条件を検討した結果、高山性の‘ミヤマキリシマ'と低山性の‘ヤマツツジ'を識別することが可能なRAPDバンドを、数種のプライマーで得ることができた。現在、これらのプライマーを用いたRAPD分析により、DNAレベルでの遺伝子移入を明らかにしようと試みている。
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