研究課題/領域番号 |
06404018
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研究種目 |
一般研究(A)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
永坂 鉄夫 金沢大学, 医学部, 教授 (80023646)
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研究分担者 |
平下 政美 金沢経済大学, 教授 (30102007)
田辺 実 金沢大学, 医学部, 助手 (20217110)
櫻田 惣太郎 金沢大学, 医学部, 助手 (00215691)
紫藤 治 金沢大学, 医学部, 助教授 (40175386)
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キーワード | 体温調節 / 脳冷却機構 / 高体温 / 姿勢 |
研究概要 |
ヒトの選択的脳冷却の機序を解明するために、人工気象室内(20-30℃、40%)に置いた傾斜台上の加温装置で被験者(健康成人男子)の食道温を体加温前の値と較べて0.7-1.0℃上昇させた後、以下の実験を行った。1)水平位から半立位(30-60°head-up)へ、または頭部を水平より6°下げるまで(6°head-down)体位を変へ、導出静脈血流、鼓膜温、食道温などを連続測定した。2)head-upで、眼角-眼静脈の血流を静脈の直上の皮膚を機械的に圧迫することにより遮断し、鼓膜温と食道温の変化を観察した。3)水平位で、被験者自身の体重により背部の皮膚が圧迫されることが原因で選択的脳冷却の効率が減弱する可能性を、座位で体加温中の被験者の背部、側胸部の皮膚を圧迫することにより検討した。その結果、1)被験者の姿勢を、仰臥位から30°head-upあるいは6°head-downの位置に変化させたただけで導出静脈(乳突導出静脈および眼角-眼静脈の血流量が、増加(約2倍)あるいは減少(軽度)することが判明した。これらの変化と同期して鼓膜温は高温レベルから0.2-0.3℃下降あるいはごく僅か上昇したが、食道温は不変であった。2)眼角-眼静脈の血流遮断では鼓膜温が上昇し、顔面静脈を鼻翼のレベルで圧迫して眼静脈経由の血流量を増加させると、鼓膜温の上昇が抑えられた。これらのことから、高体温時のヒトの脳が導出静脈経由で頭蓋内に流入する血液によって冷却されることが証明された。3)さらに背部が床に圧迫されることにより頭部の発汗が抑制されることが判明した。水平位の被験者で鼓膜温の下がりが少なかったのは、導出静脈経由で頭蓋内に流入する静脈血流量の減少の他に、皮膚圧反射による頭部の発汗量の減少による冷却効率の低下もその原因の一つであることが推測された。動物実験は次年度以降に行う予定である。
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