研究課題/領域番号 |
06404018
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
永坂 鉄夫 金沢大学, 医学部, 教授 (80023646)
|
研究分担者 |
平下 政美 金沢経済大学, 教授 (30102007)
杉本 直俊 金沢大学, 医学部, 助手 (80272954)
紫藤 治 金沢大学, 医学部, 助教授 (40175386)
|
キーワード | 高体温 / 選択的脳冷却 / 導出静脈血流 / 姿勢 / 胸腔内圧 / 換気量 |
研究概要 |
高体温のヒトの選択的脳冷却の機序の解明を目的として以下の実験を行った。1、体位変換による導出静脈血流量と脳冷却効果率の変化:立位では、仰臥位に比べ導出静脈の血流量が多く鼓膜温が低かった。2、導出静脈の両側圧迫と片側圧迫による鼓膜温の左右差:片側で眼角静脈を、対側で尾翼のレベルで顔面静脈を圧迫すると、鼓膜温に左右差(前者側で高い)が出来た。3、胸腔内圧の変化と脳冷却効率:吸息側に気流抵抗をつけた呼吸弁を介して呼吸させ胸腔内圧をより陰圧にすると、導出静脈血流量が増加し、鼓膜温の上昇が減り、食道温の差が拡大した。陰圧にした大容量の空気だめを介して呼吸させてもほぼ同様の変化がえられた。呼気側の抵抗を介して呼吸させて胸腔内圧を陽圧側に近ずけると、導出静脈の血流量が減り、鼓膜温は上昇し、鼓膜温と食道温との差が減少した。4、呼吸量の変化に起因する導出静脈血流量と脳冷却効率:過呼吸により呼吸量を増加させると、鼓膜温が対照より下降した。二酸化炭素の呼吸により呼吸量を増加させても同様の変化が認められたが、発汗量や皮膚血流量に差があり、その理由について更に検討中である。5、偏側鼻腔呼吸時の変化:片側の鼻孔を塞ぎ他側で呼吸した時、呼吸側の鼓膜温が僅かに低くなった。以上の結果から、高体温で胸腔内圧をより陰圧にして呼吸する時、あるいは単に換気量を増加させた時に導出静脈経由で頭蓋内に流入する静脈血量が増し、選択的脳冷却の効率の上昇が示唆され、ヒトの選択的脳冷却にも呼吸量の変化が大きく関与することが判明した。目的とした非観血的脳温測定法の開発と中型動物での脳冷却の機序についてはさらに検討中である。
|