ホスファチジルイノシトール 4.5-2 リン酸(PIP_2)はホスホリパーゼCによって切られてIP_3とジアシルグリセロールという2つのセカンドメッセンジャーを産生することは広く知られている。一方PIP_3はPIP_2がさらにPI_3キナーゼによってもう1つリン酸が付加されて生じる。PIP_2およびPIP_3とも多くのホルモンや細胞増殖因子の情報伝達に重要な役割を果たしている。我々はPIP_2およびPIP_3そのものが細胞機能制御を行っていることを明らかにするため、PIP_2およびPIP_3結合蛋白を捜し、その機能を解明することを試みた。 今年度はα-アクチニンやゼンキュリンが生体内でPIP_2と強く結合していることを見い出した。さらに これらの蛋白に結合しているPIP_2は細胞増殖因子、PDGFの刺激により減少することや、α-アクチニン中に存在する、PIP_2結合領域がアクチン結合部位内にあることを示した。PIP_2結合領域のペプチドを合成し、ホスホリパーゼC(PLC)への作用を調べたところPLC活性を抑制することもわかった。
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