1.新しいPIP_2結合蛋白質としてのヒストン 我々は、ヒストンH_1及びH_3にPIP_2が結合していることを見つけ、結合部位を決定した。PIP_2はヒストンH_1のC末103アミノ酸に結合した。ヒストンH_1に結合しているPIP_2量は、PKCでヒストンH_1をリン酸化させると結合しているPIP_2は減少した。またPIP_2の添加により、ヒストンH_1によるRNAポリメラーゼによる基本転写活性の抑制が解除された。 チロシンキナーゼの下流にあるPIP_2ホスファターゼ 我々は、牛脳よりAsh/Grb2に結合する150kDaの蛋白質を精製し、そのcDNAをクローニングした。p150はシナプトジャニンと相同性の高い蛋白質であった。p150を細胞に発現させるとアクチン線維の断裂が生じ、多核の細胞になった。p150蛋白質を牛脳より精製し、その性質を調べた。PIP_2ホスファターゼ活性はプロフィリン、コフィリン、α-アクチニンの様なアクチン調節蛋白質で阻害されないが、PLC-δ_1の活性は阻害された。これらの結果は、p150はアクチン調節蛋白質に結合しているPIP_2を分解し、その結果アクチン線維の再構築を促していることを示した。
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