研究概要 |
X連鎖(伴性)重症複合免疫不全症(XSCID)はサイトカイン共通受容体γc鎖遺伝子の変異に因るT細胞初期発生障害が原因である。本研究では、γc鎖を共有するIL-2,IL-4,IL-7,IL-9の各サイトカイン受容体のα鎖あるいはβ鎖にはJak1チロシンキナーゼが、またγc鎖にはJak3チロシンキナーゼが会合していること、さらに、JAK1の会合にはIL-2受容体β鎖および上記各サイトカイン受容体のα鎖の細胞内領域に共通に存在するbox1領域が必須であることを明らかにした。しかし、Jak1の会合ならびに活性化はIL-2による細胞増殖シグナル伝達には必須ではなく、Jak3の活性化が重要であることが分かった。さらに、Jak3に会合し、細胞増殖やc-myc発現誘導に関わる新規シグナル伝達アダプター分子“STAM"を同定単離した。STAM分子内には機能内に重要と考えられるSH3ドメインとITAM(Immunoreceptor Tyrosine-based activation Motif)領域を有することが分かった。他方、XSCIDモデルマウスとして、γc鎖変異マウスを作出した.これらγc鎖変異マウスはXSCIDモデル動物として、遺伝子治療に向けた基礎研究に有用となるものと期待される。
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