研究課題/領域番号 |
06404026
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
斎藤 和雄 北海道大学, 医学部, 教授 (80000917)
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研究分担者 |
高倉 昌之 北海道大学, 医学部, 助手 (90241314)
斎藤 健 北海道大学, 医学部, 講師 (40153811)
神山 昭男 北海道大学, 医学部, 助教授 (90215202)
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キーワード | 微量元素 / 老化 / 脳 / 神経伝達機構 / 神経疾患 |
研究概要 |
本研究は、脳の老化に伴って変動する老化関連微量元素に着目し、これらの中枢神経系における神経化学的役割や他の老化指標との関連を明らかにすることにより、脳の老化機構の解明や老化も診断に役立てようとするものである。本年度に得られた成績は、以下のごとくである。 1.老化促進モデルマウス(SAM)を用いて、脳8部位の組織中微量元素の加齢による変動を検討した。その結果、加齢に伴い脳の萎縮、学習・記憶の低下が認められるSAM-P10において、対照群に比較して、脳内亜鉛、銅、マンガン濃度の有意な低下、およびモリブデン濃度の有意な上昇が認められた。 2.マイクロダイアリシスを用いて、SAM-P10の脳海馬領域での神経伝達物質の放出量を検討した。その結果、SAM-P10では、加齢に伴い海馬の神経伝達物質であるグルタミン酸の放出が、対象群に比較して有意に増加することが明らかになった。 3.以上の成績より、老化促進モデルマウスの脳において、神経伝達を調整すると言われている亜鉛などの必須微量元素および神経伝達物質の代謝異常が認められることが明らかとなり、必須微量元素が、神経伝達物質代謝と脳の老化機構に関与している可能性が強く示唆された。
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