研究概要 |
研究は概ね順調に推移しており、腎集合管の血管側の水チャネル、AQP3(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:6269,1994)と、腎のヘンレの太い上行脚のCIチャネル、CIC-K2(J.Biol.Chem.269:17677,1994)をクローニングし報告した。今後は各々のファミリーのアミノ酸配列を比較し構造と機能の研究が速やかに進展することが予想される。AQP-CD遺伝子の構造を明らかにし(J.Biol.Chem.269:23451,1994)、今後の転写因子解明の基礎を作った。情報伝達の面では高浸透圧が腎細胞においてMAPkinase系を活性化することを報告した(J.Biol.Chem.269:31301,1994)。また長期の脱水において、AQP-CDの細胞内での発現量ならびに細胞内部位がcAMP-A kinase系を介して調節されることを報告した(J.Clin.Invest.94:1778,1994)。臨床疾患との関連において、人間のAQP-CDをクローニングし、第12染色体が遺伝子座であることを報告し(J.Clin.Invest.93:1250,1994)、今後の患者での遺伝子異常の探索に道をつけた。さらにラット肝硬変モデルにおいて、AQP-CDの発現がmRNA並びに蛋白レベルで増加していることを明らかにし、浮腫生成への関与に示唆を与えた(Hepatology21:169,1995)。このように計画は予定どうりに進展しており、その成果は一流学術雑誌に発表している。
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