研究概要 |
1)尿濃縮関連の輸送蛋白のクローニングとその構造と機能の解明。新しいチャネルとしてはCIC-5をクローニングし、これが外向き整流性のクロライドチャネルであることを確かめた。(J.Biol.Chem.271:10210-10216,1996)。またAQP6クローニング中であり、尿濃縮への関与が期待される。AQP2の構造と機能に関してはsite-directed mutagenesisにより、水通過のドメインを推定した(J.Biol.Chem.271:5171-5176,1996)。 2)尿濃縮機構の情報伝達系の解明。AQP2がvasopressin刺激のon/offにより細胞内を移動することを免疫染色で示した。AQP2遺伝子は他の水チャネル遺伝子とデノム上でクラスターを作成していることを報告し、その発現が厳しい負の調節を受けていることも明らかにした(Am.J.Physiol.271:F854-F860,1996)。またAQP3も脱水状態で腎髄質部でのmRNAと蛋白の発現が増加することより、尿濃縮に関わっていることが明確化した。 3)尿濃縮機構と臨床。本研究より明かとされてきた分子レベルでの尿濃縮機構について、その正常と異常を動物モデルで検証した。また特筆すべきこととして、腎癌のoriginをAQP2とAQP1の免疫染色で推定可能であることを証明したことがある(J.Urol.156:291-295,1996)。 このように計画は予定どうりに進展し、その成果は一流学術雑誌に発表した。
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