研究課題/領域番号 |
06404042
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
前田 憲志 名古屋大学, 医学部, 教授 (90023853)
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研究分担者 |
宮田 敏男 名古屋大学, 医学部, 講師 (10222332)
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キーワード | 透析アミロイドーシス / メイラード反応 / AGEs / β2ミクログロブリン / AGEsレセプター / ペントシジン / カルボキシルメチルリジン |
研究概要 |
透析アミロイドーシスは透析年数が10〜15年を越える長期透析患者には必ず発症し、現在、医学的にも社会的にも大きな問題となっている疾患である。私たちは、これまでにアミロイドの主要成分であるβ2ミクログロブリンが、糖との非酵素的反応であるメイラード反応を受けadvanced glycation end products (AGEs)化し、透析アミロイドーシスの発症において重要な役割を演じていることを明らかにした。本研究の目的は、1.透析アミロイドーシス患者のAGEs化β2ミクログロブリンのAGEs構造を認識する単球/マクロファージ上のAGEsレセプターの構造と機能を解析すること;2.AGEs化β2ミクログリブリンを修飾しているAGEsの構造を決定すること;3.このAGEs構造体を特異的に認識するモノクローナル抗体を作成すること、である。 1;AGEsレセプターの解析 単球/マクロファージより作成したcDNAライブラリーをCOS7細胞に導入し、acidic β2ミクログロブリンとの結合を指標にAGEsレセプターのクローニングを試みたが、陽性クローンの選択がうまく行えず、AGEsレセプターをクローニングすることは出来なかった。 2:AGEs化β2ミクロブロブリンに存在するAGEs構造の同定 AGEsの構造体の一つであるペントシジンをHPLCを用いた測定系で定量したところ、患者より抽出したアミロイドタンパク及び血中acidic β2ミクログロブリンにペントシジンが存在することが確認されたが、正常β2ミクログロブリンにはペントシジンは存在しなかった。また、western blottingの結果、in vitroにて合成したカルボキシルメチルリジンと抗AGEs抗体との反応性が認められ、カルボキシルメチルリジンが抗AGEs抗体のエピトープであることが確認された。アミロイドタンパク及びacidic β2ミクログロブリンにカルボキシルメチルリジンが存在することはアミノ酸分析によっても確認された。以上、AGEs化β2ミクログロブリンに存在するAGEs構造として、ペントシジン及びカルボキシルメチルリジンを同定することが出来た。 3:AGEs化β2ミクログロブリンに対する抗体の作製 AGEsβ2ミクログロブリンを抗原とする抗体の作製は出来なかったが、KLHをAGEs化して免疫することによりアミロイドタンパク及び血中acidic β2ミクログロブリンに反応し、正常β2ミクログロブリンには全く反応しない抗AGEsポリクローナル抗体の作製に成功した。
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