| 研究課題/領域番号 |
06404044
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| 研究機関 | 東京女子医科大学 |
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研究代表者 |
太田 和夫 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40090659)
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| 研究分担者 |
田辺 一成 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (80188359)
河合 達郎 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (40186044)
渕之上 昌平 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (10147382)
東間 紘 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (90075549)
寺岡 慧 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (20147383)
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| キーワード | 腎移植 / 免疫寛容 / chimerism / ドナー骨髄移植 |
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| 研究概要 |
臨床の腎移植においてドナー特異的な免疫寛容を誘導するため、cynomolgus monkeyを用いて実験をおこなった。実験は1989年にDavid Sachsらがマウスにおいて、非致死的前処置により同種皮膚移植の免疫寛容誘導に成功した研究に準拠したもので、これが霊長類の同種腎移植に応用できるかどうかを検討した。基本的なプロトコールは非致死線量(200-300rad)の全身照射、700radの胸腺照射、ドナー骨髄移植、splenectomy、および1カ月のcyclosporine投与よりなるが、これらすべての前処置をおこなった群(n=7)では全例にmultilineageのchimerismが誘導され、移植腎もcyclosporineを中止しても拒絶されず免疫寛容を獲得した。これらのサルは混合リンパ球培養によってもドナー特異的に無反応であり、さらにこのうち1頭においては腎移植後1年経過したところで皮膚移植をおこなったが、腎臓のドナーの皮膚だけが生着し、third partyの皮膚は10日以内に拒絶された。また、GVHDは1例にも認められなかった。現在これらの前処置のひとつひとつについてその必要性を検討しているところであるが、いままでにドナー骨髄移植をしなかった群(他の処置はすべて施工、n=2),胸腺照射を省いた群(n=2)、全身照射を省いた群(n=2)、全身照射を150radに下げた群(n=1)はすべてcyclosporine中止後すぐに術後50日までに拒絶されている。また、cyclosporineを投与しなかった群(n=2)では術後15日までに拒絶された。これらのコントロールにより、splenectomy以外の前処置はすべて必要であることが判明した。この実験における免疫寛容の機序は現在なお検討中であるが、免疫寛容の誘導にはmultilineageのchimerismが必要なことから胸腺におけるcentral toleranceのメカニズムが働いているものと思われる。しかし本プロトコールは非致死的なものであり、移植時にはなお相当のrecipientのT cellが残存していることは明らかでこれらのT cellがいかにしてanergyとなっていくのかは今後の研究課題である。移植腎生検では腎機能が良好なのにもかかわらず、術後100日前後までは細胞浸潤がみられ、その後全く正常となっていくのが観察されている。このことより、前処置より残存したT cellのanergyには移植腎自体も関与している可能性が示唆された。今後はこれらの機序をさらに解明すると同時に、splenectomyの必要性、照射量の検討を進めたうえで臨床応用に移る予定である。
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