研究課題/領域番号 |
06404049
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
吉竹 毅 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60010261)
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研究分担者 |
亀谷 雄一郎 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (30255129)
増永 敦子 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (60219350)
菅原 勇 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (10196701)
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キーワード | 重症筋無力症 / 胸腺 / 胸腺腫 / リンパ節 / 免疫組織染色 / RT‐PCR / apoptosis / tenascin |
研究概要 |
重症筋無力症(MG)胸腺の胚中心形成濾胞はTenascin陽性の細線維に囲まれる区画性を示し、胸腺髄質の他組織と区画されている。この区画的特異性はリンパ節リンパ濾胞には認められなかった。区画されたMG胸腺濾胞にはapotosis関連抗原であるFAS抗原発現が、MG胸腺髄質、新生児胸腺に比し、限局的に低下を示した。さらにRT‐PCR法により、mRNAでのFAS抗原遺伝子発現の低下も伴っていた。次に、apoptosis抑制抗原であるbc1-2抗原発現細胞が、MG胸腺濾胞中心部に散在したが、リンパ節リンパ濾胞中心部には全く認められなかった。これらの結果よりMG胸腺濾胞はリンパ節リンパ濾胞と異なり、限局区画性を有し、上皮細胞増殖に関連する間質線維に囲まれ、その中において、apoptosisの減弱を示し、異常Bリンパ球生存延長を許容し、異常抗体産生の基を成していることを示唆している。 MG胸腺濾胞中に存在する上皮様細胞と抗体産生の関連について、接着因子免疫組織染色を行った。LFA‐1α、ICAM‐1染色においてMG胸腺濾胞とリンパ節リンパ濾胞の染色差を認めなかった。 MG胸腺に胸腺腫が合併することが多く、胸腺腫合併MG症例では血清抗Ach‐R抗体価陰性例はなく、この点より、胸腺腫上皮細胞の発生学的関連を追求するため、サイトケラチン17(CK17)免疫組織染色および、CK4、CK19mRNA発現をRT‐PCR法により検討した。CK17は胸腺髄質上皮細胞のみに発現が認められ、リンパ球に発現を認めなかった。胸腺腫では約半数例に発現を認め他は陰性であった。CK19mRNA発現は胸腺腫、胸腺組織に強く認めたが、CK4mRNA発現は正常胸腺、MG胸腺にのみ弱く認めた。このことから、胸腺腫上皮細胞は多様性の発生起源を示し、MG抗体産生との明瞭な関連は得られなかった。
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