研究分担者 |
田鹿 安彦 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (30130264)
竹下 幹彦 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (90138868)
井沢 正博 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (70075703)
伊関 洋 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (90119892)
久保 長生 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (10075690)
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研究概要 |
脳腫瘍の放射線局所治療法に関する臨床的ならびに生物学的総合研究を行った.基礎的研究では悪性神経膠腫組織内のカドヘリンの発現と腫瘍の浸潤・播種と治療予後との相関を検討し、E-カドヘリンの発現は浸潤・播種傾向が増加し、予後不良例が多いことを報告した.臨床的研究では悪性脳腫瘍に対し、各種の局所放射線照射法と化学療法を応用し、悪性脳腫瘍の治療成績の向上をはかった.重粒子線治療、ガンマナイフ治療およびPRS(photon radiosurgery system,局所放射線装置)等で治療している。ガンマナイフ治療では転移性脳腫瘍で腫瘍増殖の抑制及び腫瘍縮小効果が認められ、QOLの向上が得られた.PRSによる定位的局所放射線治療は39例の症例に45回のPRSによる照射療法を施行した.内訳は神経膠腫32例,転移性脳腫瘍5例,胚細胞性腫瘍2例,頭蓋咽頭腫1例,血管外皮腫1例,悪性リンパ腫1例,下垂体腺腫1例、髄膜腫2例であり,41回は摘出後術中照射,4例に定位的生検後照射を施行した。悪性星細胞腫では平均生存期間は9ヶ月であり、すべての初発例では現時点では全例生存している。膠芽腫では平均生存期間は約9ヶ月である。このうち再発例は約7ヶ月で死亡した。このように現時点では、局所制御は比較的良好であり、重篤な副作用は見られていない。剖検例での検索でも照射部位では腫瘍は見られなかった。放射線医学総合研究所との共同研究で脳腫瘍30例に本治療を行った。治療後6ヶ月の観察ではその奏功率は、星細胞腫では12%、悪性神経膠腫では31%、転移性脳腫瘍では100%である。今後さらに症例を重ねていかなければならないが、比較的治療効果が良好である。
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