同種複合組織移植における、免疫応答能を評価するため、MLC(リンパ球混合培養)反応、CML(細胞媒介性リンパ球溶解)反応、CDC(補体依存細胞障害)反応の至適培養条件の検討を行った。その結果、基礎実験で得られた条件を用いて十分に評価できることが判明した。今後は、この培養条件を用いて同種複合組織移植における免疫応答能を評価していく予定である。 また、同種複合組織移植片の至的保存法の検討としては、ラットの大腿を中央部より完全切断し、一定時間保存後、再接着するモデルを用いて検討した。その結果、3時間保存群に比べ6時間保存群では生着率および筋質重量とも有意に低下しており、本モデルは移植モデルとして有用であることが判明した。また、筋質重量と相関し、筋収縮力も有意に低下しており、今回用いた装置により筋収縮力を測定でき、筋収縮力の測定は移植組織の機能評価法として有用であることが判明した。また、6時間保存群の生着率を向上させ、機能を温存させる保存法の開発が必要と考えられた。 今後は、特異的なDNAプローベを用い、各種組織のpermiabilityの評価が可能か否かについて検討を加えたい。また、拒絶反応時に出現する免疫担当細胞やサイトカインの動態を調べるため、免疫学的手法の有用性についても検討を加えたい。さらに、特異的免疫療法として、ドナーの各種細胞をレシピエントの種々の経路に免疫抑制剤FK-506と伴に投与し、組織学的に評価し、その有用性についても検討を加えたい。
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