研究課題/領域番号 |
06404055
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
下地 恒毅 新潟大学, 医学部, 教授 (30040158)
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研究分担者 |
山倉 智宏 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (80272847)
藤原 直士 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (70181419)
福田 悟 新潟大学, 医学部, 助教授 (30116751)
熊西 敏郎 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40018601)
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キーワード | 抗脳虚血 / 微細損傷 / 海馬スライス / 細胞内カルシウム / 受容体チャネル / NMDA受容体 / ノックアウトマウス |
研究概要 |
全身麻酔薬は、種々のメカニズムにより虚血に対する脳保護効果が指摘されている。なかでも解離性麻酔薬のケタミンはグルタミン酸受容体チャネルの中でNMDA受容体を選択的に抑制することから、その抗虚血作用が示唆されている。さらに、麻酔作用そのものの発現機序にもNMDA受容体の制御が関与していることが示唆されている。そこで、ケタミンの麻酔作用機序におけるNMDA受容体の役割を明らかにする目的で、ε1サブユニット欠失マウスにおける、ケタミンの麻酔作用を解析した。60mg/kgのケタミンを腹腔内投与後は、野生型と欠損型ともに立ち直り反射に影響は認められなかったが、80mg/kgのケタミン投与により野生型は立ち直り反射消失時間が、240±42秒であったのに対し、欠損型では23±23秒と有意に短縮していた。このことから、ケタミンによる麻酔作用の発現にε1サブユニットから構成されるNMDA受容体の関与が示唆された。 また、ケタミンの鎮痛作用におけるNMDA受容体の役割を明らかにするために、野生型と欠損型マウスにおいて、tail-flickテストおよびhind-paw withdrawal反応での逃避反応潜時を測定した。野生型および欠損型マウスともに、ケタミン200mg/kgまでの投与において、これらの逃避反応潜時に変化は認められなかった。すなわち、これらの鎮痛効果判定試験では、ケタミンの鎮痛効果を評価し得なかった。ケタミンは臨床麻酔において強力な鎮痛作用を有することが知られている。したがって、これらの鎮痛効果判定試験の再評価の必要性が認識された。
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