研究課題/領域番号 |
06404055
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
下地 恒毅 新潟大学, 医学部, 教授 (30040158)
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研究分担者 |
山倉 智宏 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (80272847)
藤原 直士 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (70181419)
福田 悟 新潟大学, 医学部, 助教授 (30116751)
熊西 敏郎 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (40018601)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1997
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キーワード | 抗脳虚血 / 微細損傷 / 海馬スライス / 細胞内カルシウム / 受容体チャネル / NMDA受容体 / ノックアウトマウス |
研究概要 |
脳虚血侵襲に対して、内在性抗脳虚血機構が存在する可能性が示唆されており、その抗虚血機構の解明と応用は脳蘇生研究に新しい可能性を供するものと考えられる。本研究では抗脳虚血機構を明らかにするために、特に細胞膜機構・リセプタチャネル機構から基礎的検索を行った。具体的には、脳微小損傷による脳虚血マウスの生存率改善効果や抗痙攣効果を証明し、されにその生理学的背景を検索すべく、脳損傷マウスの脳切片標本を用い、無酸素・無グルコース灌流(vitro虚血)を行い、損傷近傍の細胞内カルシウムイオン濃度やシナプス活動を検討した。その結果、機械的損傷に起因した虚血性細胞内カルシウムイオン濃度上昇の抑制、および再酸素化後のシナプス活動の高率回復が認められた。また、これらのvitro虚血に対して、軽度のアシドーシスは保護的に機能することを明らかにした。さらに、虚血負荷時のグルタミン酸遊離と細胞内カルシウム濃度の時間的関連についても検討し、虚血性神経細胞障害の機序の多様性が示唆された。また、虚血性の細胞内カルシウムイオン濃度上昇の主な機序とされるNMDA受容体について、遺伝子学的手法により変異体サブユニットを作製することにより、抗虚血作用を有する薬剤である解離性麻酔薬、MK-801、バルビタール酸誘導体、ブチロフェノン系薬剤などの受容体チャネルにおける作用機序を検索し、薬剤作用における特異的サブユニットの関与と抗虚血機序としてのチャネル閉塞機構の重要性を示した。さらに、NMDA受容体の特定のε1サブユニットを欠損するマウスを作製し、vitro虚血による神経細胞内カルシウムイオン濃度や脳虚血負荷による生存率や梗塞程度、さらに解離性麻酔薬のケタミンに対する感受性などにつき検索し、これらの発現におけるε1サブユニット関与の重要性を証明した。本研究により、抗虚血機構の多様性とそれを担う特異的分子群の重要性が示唆された。
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