研究課題/領域番号 |
06404065
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
織田 公光 新潟大学, 歯学部, 教授 (10122681)
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研究分担者 |
五十嵐 敦子 新潟大学, 歯学部, 教務職員 (90168097)
高橋 徳也 新潟大学, 歯学部, 助教授 (50018420)
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キーワード | アルカリホスファターゼ / GPI / シャペロン / Bip / GRP78 / 骨 / 胎盤 / 膜結合蛋白質 / 小胞体残留シグナル |
研究概要 |
アルカリホスファターゼ(ALP)はglycosylphosphatidylinositol(GPI)を介して細胞表面に結合するいわゆるGPI-アンカー型の膜蛋白質である。本研究では胎盤型及び肝・骨・腎型の2種類のALPのアイソザイムの生合成、その細胞内輸送とGPIによる翻訳後修飾の関連を検討した。ALPのcDNAの解析から、ALPは当初C-末端に延長ペプチド(プロペプチド)を有する前駆体(プロ型)として合成され、プロペプチドがGPI化のための信号になると想定されていた。そこで、遺伝子工学的な手法を用いて、本来可溶性の分泌蛋白質であるα_<2u>-globulin(αGL)のC-末端側に胎盤型ALPのプロペプチドを有するキメラ分子をCOS細胞で発現させた。その結果、(1)蛍光抗体法による観察、(2)ホスファチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼCによる細胞表面からの遊離、(3)^3H-エタノールアミンの取り込みのいずれの実験からもキメラ分子はGPIを介して細胞表面に発現されていることが確かめられ、これはプロペプチドがGPIによる修飾のための信号として働くことを強く示している。一方、キメラ分子のAsp159を部位特異的突然変異法を用いてTrpに置き換えた突然変異型のキメラ分子ではもはやGPI化が起きないことから、Asp159がキメラ分子のGPI結合部位であることが示されるとともに細胞表面への発現が見られないことが明らかとなった。小胞体残留シグナル(KDEL)に対する抗体による免疫沈降実験により、突然変異型のキメラ分子は小胞体に内在性のシャペロンであるBip/GRP78と会合することで小胞体内に貯留され、最終的には分解を受けること、しかもその蛋白分解にプロテアゾームが関係する可能性が、プロテアゾームの阻害剤であるLactacystinを用いた実験から示唆された。また、αGLと肝・骨・腎型ALPのプロペプチドからなるキメラ分子の発現からプロペプチドの30アミノ酸残基にGPI化のための信号があることが確認された。
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