研究課題/領域番号 |
06404067
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能系基礎歯科学
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
須田 立雄 昭和大学, 歯学部, 教授 (90014034)
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研究分担者 |
片桐 岳信 昭和大学, 歯学部, 助手 (80245802)
高橋 直之 昭和大学, 歯学部, 助教授 (90119222)
宮浦 千里 昭和大学, 歯学部, 講師 (20138382)
新木 敏正 昭和大学, 歯学部, 講師 (90138420)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | 骨粗鬆症 / エストロゲン / 骨吸収 / インターロイキン1 / インターロイキン6 / 骨髄造血 / Bリンパ球 / アンドロゲン |
研究概要 |
1.エストロゲンの骨吸収抑制作用におけるサイトカインの役割 マウスに卵巣摘出(OVX)を施すと、骨吸収が亢進し骨量の急速な減少がみられる。この骨粗鬆症モデル動物を用い骨塩定量を行なうと共に、経時的に骨髄液を採取して生化学的解析を行なった。OVXマウスの骨量は偽手術(sham)に比して、術後2週目より有意に低下した。大腿骨および脛骨より骨髄液を採取し、マウス長管骨器官培養系に添加して骨吸収活性を調べた。その結果、OVXマウスの骨髄液に検出された骨吸収活性はShamマウスに比して著しく高く、抗IL-1α抗体により完全に、抗IL-6抗体により部分的に抑制された。そこで、骨髄液のIL-1α及びIL-6の濃度をElisaやBioassayにより測定した。骨髄液中のこれらサイトカイン濃度は血中レベルに比して著しく高値であり、また、OVXによりIL-1α活性及びIL-6濃度が有意に上昇した。しかし、骨髄液に検出されたIL-1αあるいはIL-6の単独の濃度では、骨吸収を促すには不十分であった。一方、OVXマウスの骨髄液に存在する濃度のIL-1α、IL-6を併用添加したところ、OVXマウスの骨髄液に匹敵する高い骨吸収活性が発現された。即ち、エストロゲンが欠乏すると、これら骨吸収性サイトカインの産生が高まり、相乗的に骨吸収を亢進させると結論された。 2.エストロゲンにより骨髄Bリンパ球造血の調節 OVXマウスでは骨量減少に先立って、骨髄のBリンパ球造血が亢進し未熟なプレB細胞が蓄積する。このエストロゲンの作用機構の解明の為に、in vitro培養系における作用を検討した。マウスの骨髄細胞と骨髄間質細胞株ST2を共培養すると、Bリンパ球の選択的分化を促すことができる。この培養系を用いてエストロゲンや他の性ホルモンの作用を調べた。その結果10^<-10>-10^<-8>Mの17β-estradiolは用量依存的にBリンパ球の増殖と分化を抑制したが、アンドロゲンやプロゲステロンは無効であった。エストロゲンはIL-7に依存的でストローマ細胞非依存的なプレB細胞株の増殖に影響を及ぼさない為、骨髄ストローマ細胞に依存したBリンパ球分化初期に作用し、その分化を負に調節していると結論された。 以上の研究成績は、骨粗鬆症の発症機構に骨髄のサイトカインと造血環境が密接に関与することを示唆しており、性ホルモンの骨代謝調節作用の機構解明に新たな知見をもたらした。
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