研究課題/領域番号 |
06404071
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
大橋 靖 新潟大学, 歯学部, 教授 (30013874)
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研究分担者 |
小野 和宏 新潟大学, 歯学部, 助手 (40224266)
磯野 信策 新潟大学, 歯学部・附属病院, 助手 (10168289)
中野 久 新潟大学, 歯学部・附属病院, 講師 (60180329)
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キーワード | 鼻咽腔閉鎖機能 / 神経生理学 / 口蓋帆挙筋 / 舌背粘膜 / 筋電図 |
研究概要 |
鼻咽腔閉鎖機能の神経生理学的分析を目的に、本年度申請書に記載した備品としてポリグラフシステム(日本光電:RM-6000)を購入し本研究に使用した。 実験動物としてネコを用いて行い、ハタロン麻酔下、除脳後、軟口蓋挙上運動の主体である、口蓋帆挙筋に双極針電極を刺入し、舌背粘膜に非侵害性の機械的刺激を加え、刺激部位の違いによる同筋の筋活動を筋電図で記録し、その応答様式についての検討を行った。 舌尖部、舌中央部、舌根部への圧刺激により口蓋帆挙筋に興奮あるいは抑制の反射性筋活動が生じた。刺激前の筋の活動状態(background activity:BGA)が低いときには興奮反射が生じやすく、BGAが高くなるにつれ興奮効果が減少し、さらに高くなると抑制反射へと変化した。この反射効果が逆転するBGAの値は、舌尖部、舌中央部、舌根部へと刺激部位が口腔の吻側から尾側に移るに従い、高くなる傾向を示した。 この結果から、口蓋帆挙筋は舌尖部から抑制反射が生じやすく、舌根部から興奮反射が起こりやすいと考えられ、軟口蓋運動は、1993年に教室の今井が報告した口蓋粘膜からの制御機構だけではなく、舌感覚とも深い関連性を有しながら、行われていることが明らかとなった。 本研究の一部は第18回日本口蓋裂学会総会(1994)において報告した(焦暁輝、他)。 以上のように口蓋帆挙筋の反射制御についての詳細が明らかになってきたが、発音制御機構を考慮した場合、舌と上顎前歯を含む口蓋各部への接触様式が、構音に際し重要であることがよく知られており、今後、舌と口蓋への同時刺激による同筋の応答様式の解析が必要と考えられる。 平成7年度においては、動物実験を継続して行い、同時刺激時の刺激部位の違いによる応答についての分析を行い、制御機構の解析を進める予定である。
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