東北地方某県の市街地(U)と農山村(R)にある小学校の男女(MとF)児童を対象とした。5年生児童71名の1日(7:00〜19:00の約12時間)の歩数と心拍数を記録することにより日常生活における活動量を求め、地域差、性差、活動的であるか否かの差を検討した。その結果、Rの児童の歩数は12900歩でUの児童より4100歩多く、Mは14600歩でFより1800歩多かった。しかし、10拍/分ごとに分けた累積時間でみた心拍数に地域差はみられなかった。ただし、登下校時間(U;40分、R;70分)には地域差があり、放課後の運動時間には性差(M=120分、F=80分)がみられた。1日のうちで心拍数が110拍/分以上になるのは約3時間であり、登下校(110〜120拍/分)、業間休みの運動(マラソン:130〜140拍/分)、体育の授業(130拍/分)、放課後の運動(120拍/分)でみられ、その他の学校および自宅での活動は110拍/分以下であった。さらに、教師が活動的とみなした児童は、非活動的な児童に比べて心拍数が150拍/分以上になる時間が長かった。 走、跳、投動作についてのビデオ教材と指導内容の明示を含んだカリキュラムを10〜11月にかけて両小学校で実施した。3年生65名と5年生74名の児童に、まずビデオ教材のじょうずな動作を見せて、各動作の指導内容を教師が説明し、3〜4日/週の頻度で、4〜5週間練習させた。練習前後に、50m走、走り幅とび、ソフトボール投げ、PWC_<150>、脚伸展パワーを測定した。3、5年生ともに、練習前の記録に地域差はなかった。練習による改善は、記録の低い児童の改善に依るところが大きかった。また、5年生よりも3年生の記録の改善が顕著であった。3、5年生ともに、教師が活動的とみなした児童は運動能力テストの記録は高かった。しかし、練習によって活動的な児童に改善がみられた項目は3年生とR5年生の走り幅とびのみであり、この運動に3年生が不慣れであったことを考えると、本研究のカリキュラムは非活動的な児童に効果的であったと考えられる。
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